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未来の考古学

エッセイ
12 /23 2010
21世紀と呼ばれていた頃、どこかのわけのわからなくなったひとりの男がボタンを押して、人類は滅亡した。

と思いきや、人間と言うのはしぶといもので、あまり戦争なんて関係ない人たちがひっそりと生き残り、それから長い年月の後、また文明が起こり学問というものが発達していった。

ここにひとりの男がいる。
彼は考古学者ではあるが、取り立てて素晴らしい発見をしたこのない、学会では無名の男だ。

その彼が、今回開かれる考古学学会を前に燃えていた。

それは数年前、とある海で海底火山が爆発し、その拍子に周りにあった古代の陸地が、海から顔を出した。
他の学者は、そんな小さな島には大した発見はないだろうと無視していたが、彼はその場所へ向かった。
理由は暇だったからだ。
目ぼしい場所は著名な学者に抑えられていた彼にとっては、そんなところしか行く場所が残っていなかった。

彼は、自分にはもったいないと思われる言語学者の卵である助手と2人で出かけていった。
2人で向かったのは、ただ単に予算がなかったからだ。

しかし2人は、そこで発見をする。
この小さな島、昔意外なほど文明を持っていたのだ。
その発見を持って、彼は学会に出席をした。

今回の学会の中心話題は、各土地で発見されている、白いサンタであった。
初めてこの発見が発表されたとき、学会に激震が走った。
それまで伝説として語り継がれていたサンタクロースは、赤い服というのが定説だったのに、続々と発見されたのは白いサンタであった。
そのサンタがかけていたとされたメガネも発見された。
そして最大の謎であった、拡げた手に抱えられていたものが最近になって、油で揚げた肉の入ったバケツのようなものとわかったのだ。
そして出た結論は、サンタは子供にプレゼントを上げる代わりに、親が自分を揚げて貢物としたというものだった。
残酷な話である。

そんな話を無名な彼は黙って聞いていた。
そして学会が終わりに近づいた頃、満を持して発言した。
彼の話を要約するとこうなる。

この島は、助手の解析によると日本という国であった。
小さいが、かなり文明が進んでいたらしく、それが証拠にこういうオブジェが発見された。
ここで彼が見せた写真は、海水でかなり腐食が進んでいるものの、オレンジ色をした塔のようなものだった。
そしてその近くから発見されたものは、巨人が目をつぶり座っている像であった。
髪の毛はひとつひとつ丁寧に巻かれていているのを現しているのか、石がきれいに並べられている。
彼は自慢げに、この国は文明も進んでいたが巨人の国であったと定義づけた。

そこへ皮肉な笑みを浮かべた有名な学者が一言。
そんなものはインドと呼ばれていた土地で発見されている。
いくら進化したからと言って、あんな小さな国にそんな巨人が住めるわけがない。

有名な学者の一言に周りの列席者もうなずいた。
無名な彼は、発言に慣れていなく、まして本格的な発掘に携わったのが初めてだったため、功をあせっていた。
反対意見も言い訳すらも容易していなかった。

そこへ持ち帰った金庫を開けるために、研究室に残っていた言語学者の助手が駆け込んできた。
助手は1枚の神を持っていた。
そして中央に進み、
「新発見です」
と大きな声を上げた。
その紙には、
「阪神V」
と大きな文字が躍っていた。
そこまでは、大した反応ではなかったのだが、その後の助手の発言と小さな紙面上の写真に学会は沸いた。

助手が解析したところによると、この夜阪神タイガースという団体が反体制勢力に勝利した。
そしてその証として、白いサンタが川に投げ込まれたというのだ。

これは親が貢物として自分を揚げるという、非人道的主義に戦いを挑んだ証だという。
そして彼がその象徴としたのは、大きな蟹と白いサンタより細く弱そうだがメガネをかけ優しげに笑みを浮かべた、赤白のクイダオレという人形らしいというのがわかった。

学会は、この大発見に騒然となり、助手は一躍時の人となった。
そして彼は、他に見つけた文献や小物を参考に、この闘争を
「道頓堀川の乱」と名づけた。

無名の学者は助手に追い抜かれ、ひとり発掘の旅に出た。
彼が、空中ブランコや玉乗りも出来る牛肉の神「ドナルド」と「マック」「マクド」の呼び名の謎とで、世界中の注目を集めるのはまだ先の話だ。



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紘野涼です。
「スワローズ観察日記R」の管理人
仕事はフリーランスでライターやプランナーなどその他もろもろという感じです。
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